山の手空襲の夜

66年前のいまごろ、5月25日夜10時過ぎ――。東京の明治神宮・表参道に大きな空襲があった。写真の左、信号の下あたり、みずほ銀行前に、黒こげになった遺体が山積みにされていた。この話は『ワシントンハイツ』第1章に詳しく書いているので、ぜひ読んでほしい。

1944年11月から終戦までの間に、東京は130回、空襲を受けた。なかでも45年の4月から5月にかけての、東京全域にかけて4度の大空襲を「山の手空襲」と呼び、3月10日の下町空襲と区別している。

5月25日に東京全域に落とされた爆弾の量は、実は3月10日のほぼ2倍。死者2258人。負傷者8465人と記録されている。

どうか空襲で命を奪われた方々の無念に、思いを馳せてほしい。戦没者もさることながら、切り詰めながら本土を守った市井の人々が犠牲になる戦争が、いかに無意味か。今夜だけでも、そのことを考えたい。