ようやく「ころもがへ」に着手

暑い国、寒い国、日本の季節とは真逆の状態にある国々を飛び回ることに慣れている私は、もう長らく洋服の衣替えをしていない。衣裳部屋には段違いで5本のポールをうち、どの季節にも対応できるよう洋服が下げられている。

しかし、着物となると、そうはいかない。和服には明確なルールがある。6月から着物は単衣、襦袢は絽と相場が決まっているのだ。もっとも、最近の異常気象では、私の場合、5月でも暑い日には着物を単衣にしたり、襦袢を絽にしたりするが、さすがに半襟を絽に替えるのは6月から、昔ながらの慣習に従うことにしている。

昨日の撮影では母の江戸小紋の絽に、「雨あがり」と題する掬い織の帯職人95歳ころの懇親の作を締めた。この後、観劇と祝宴と和服を着る機会が続く。風を通したりアイロンをかけたりと、晴れの日でもないのに、箪笥をひっくり返す一日となった。

原稿に縛られ、あまり活躍の場がなかった袷の着物たち、ありがとう。秋まで箪笥の中でお休みくださいね。