銀座めぐり

アメリカ取材に備え、銀座に買い物に出た。
まずは、「スリムドカン」が切れているので、東銀座で降りて、「銀座まるかん」に行く。かつては歌舞伎座の楽屋からすぐのところにあったが、さらに日本橋寄りに移った。そういえば、新宿紀伊国屋本店1階に、斉藤一人氏の最新刊『微差力』が並んでいたが、店頭には漢方系サプリ、化粧品のほか、一人氏の書籍も並んでいる。
次に、おみやげの「朝日あげ」を買いに、銀座に誕生したという「播磨屋」へ。いつもは、霞ヶ関の金毘羅神社の近くの店で購入する。文部科学省の斜め前にある店には無料のカフェがあり、知る人ぞ知る静かな穴場スポットであった。おせんべいを色々試食しつつ、お茶やコーヒーも自由に飲めるので、「朝日あげ」と「華麗満月」で迷う私は、そこで試食してから、気分で決めて購入していた。
ところが、銀座のカフェは勝手が違う。明らかに、無料カフェを狙ってきている人がたくさんいるのだ。霞ヶ関ではコーヒーは陶器のカップだが、こちらは紙コップ。しかも、エコに配慮して一人ひとつまで、お煎餅も然りで、もしも、節操のない人をみかけたら、忠告しあいましょう、とアナウンスが流れるのだ。昨秋にオープンしたここには、無料でおせんべいが食べられるからと、銀座とは思えない振る舞いをする人が大勢押し寄せているのだろう。
その後、「アバクロ銀座店」を初体験してから、「ユニクロ」を覗いた。少し前まで「ユニクロ」では買わないとあれほど堅く決めていた私も、成田空港でスカートを購入したのを皮切りに、抵抗がなくなってしまった。案の定、色違いのスカート1980円が1280円になっていたので、購入する。結構、中年女性客も多いのに驚いた。
なんだかなあ。「PRADA」で中国人が買いあさっている一方で、日本人が安価な「ユニクロ」で買う姿を見るのも、複雑なものがある。これは近未来の縮図であり、バブル期以降、日本人も同じことをしてきたように思う。
最後は名鉄メルサの「ユザワヤ」へ。かつて、私はここの「シャルル・ジョルダン」に通ったものだ。テナントが高級店のイメージがあったメルサに、蒲田や吉祥寺の手芸ショップが出店とは、時代は変わったものだと思う。たしかに店頭にはデコラティブはパーツが豊富に並び、日本に手作りの波が来ていることを実感する。ユニクロで買ったウェアを自分オリジナルに変化させる。思えば、大学生のころまで、私自身もよくやっていたことで、このほうがずっと健全なのかもしれない。知恵を絞ることを強いられる意味で、老化防止にもつながる。
ほんの数時間、銀座を巡っただけで、色々なことが見えてきた。しかし、日本人の心に宿る銀座の街のイメージからほど遠いのも事実。果たしてこれでいいのか、考えてみる必要がある。