独裁者の末路

 往生際の悪いムバラクには、呆れ果てる。

 即時退陣表明をして、スレイマン副大統領が大統領として選挙までつなぐのが一番いい。ムバラクが居座れば居座るほど、人々の怒りは醸造され、ムバラク政権下にいたスレイマンでさえ受け入れられなくなる。結果、混迷が続いて、イスラエルとの関係が難しくなる。

 東南アジアも同じだったが、欧米にバックアップされた為政者が独裁化してこのような末路をたどるのは、20年、30年という年月を経るうちに、子どもたちが成長し、親の利権にぶらさがるところにある。もともと側近や政商が富を分かち合うクローニー主義で周囲を固めて長期政権に持ち込んでいるのだが、親の世代では、国民生活を底上げしてくれたと感謝するにとどまる。ところが、そこに次世代が加わるあたりからアカラサマになり、国民も貧富の差に疑問をはさむ余地が生まれてしまうのだ。為政者も国民も世代交代。だから、25年が限界と考えるべきであろう。

 問題は、そうなったとき、独裁者は裸の王様になっていることだ。あるいは、親バカで、子どものために羅針盤が壊せれていくことにある。