作家の籠城生活

塩野七生さんの100年インタビューを観ている。ローマへの関心は日比谷高校時代に始まっていたのだ。庄司薫も同級生だったとは今日まで知らなかった。

作品を書き上げるのに5ヶ月籠城するという。歴史を書くのに、現代人との接点を絶つ。そうなのだ。占領期を書くのでさえ同じ感覚を持った。その時代にトランスしないと書けないものである。

そうか。塩野さんのような巨匠でもそうなのだから、私は1年篭る覚悟が必要なのだろう、本当は。つい断りきれず人に会う私は、まだまだ半端だ。

ところが、私の周囲は執筆で会えないというのがどうも理解できないらしい。海外取材やテレビ出演だとすぐイメージできるのに、書いている合間に少しくらい自分に割く時間はあるはずだと発想する。特に、年配の人たちが私のNGを不義理だと断じる。これが厄介だ。

自慢じゃないが、私は遅筆である。小さなコラムならともかく、一冊書き下ろすのは、じっくり考えないと進まないのである。せめて入稿が終わるまで、お許しいただきたい。もちろん、お祝いの席やお別れの席には伺います、万難を排して。