大江幸若舞の瀬高へ

福岡にやってきた。博多を拠点にして、みやま市の瀬高と往復する。周遊切符を利用するため、鉄道で移動する必要があった。

ここは空港かと見まごう電光掲示板の眩しさが、駅の新しさを物語る。LEDライトを使っているか、明らかに色が違う。デジタルでぴかぴかになった博多駅に到着した。

ここを拠点に、みやま市の瀬高と往復する。周遊切符を利用するため、鉄道で移動する必要があった。

東京からはいつもと同じ「のぞみ」に乗り、新大阪で降りて、JR九州の「さくら」に乗車した。普通車でもグリーン車並に座席が広い。このまま乗れば鹿児島に到達する。

私は博多で下車。そこからは在来線だ。数多ある在来線の発車時刻とホームの番号を示す電光掲示板も真新しい。だが肝心の現在時刻は表示されていない矛盾。あと何分余裕があるのか、かばんの中から携帯を取り出して、時刻を確認する。昨今の日本の鉄道の駅には時計がない。そのことに改めて腹を立てながら、スイスのチューリッヒ駅には、巨大な円形のアナログ時計の横にダイヤの掲示板があったことを思い出す。それこそが駅の基本形である。

さすがに在来線の車両は古めかしくて、ほっとする。窓の外を見上げると飛行機が頭上を飛んでいった。東京に向かうのかアジアに向かうのか。しかし、地上では人々の営みが続いている。

私が目指したのは、鳥栖。久留米、荒木を経て、しかし大牟田の手前にある瀬高町だ。いま書いている人物の痕跡を求めての取材だが、20日には年に一度の幸若舞が奉納される。そこまでの滞在だ。