2015年10月 青竹の色留@奉幣祭

賀茂別雷神さまが本殿にお遷りになった翌朝は、奉幣祭。雲ひとつない秋晴れの下、勅使がお持ちになった天皇からのご祭文を田中宮司が受け取り、本殿に納められました。
奉幣祭は立砂のある細殿で行われます。参列席は、本殿前ではなく、楼門の外。儀式ではなく、お祝いの席。なので、色は薄くても大丈夫と判断。母の青竹の色留に、菊が刺繍されている帯を締めております。女性参列者は、訪問着や振袖をお召しになっていました。
披露宴や初釜式だと、翡翠の龍の帯留に緑の三分紐を締めるのですが、神事なので、白の帯締めにしました。廣澤白鳳。日光東照宮純金糸を用いた誉田屋製。強いて言えば、ここが葵つながり。徳川の家紋は三葉葵。三河の徳川松平家は賀茂社の分霊社を信仰していたのです。
伊達襟なしがよかったかもしれません。若い頃は顔がぼけるので入れていたのですが、年齢的にも、もう必要ないかもしれませんね。

2015年10月 菊尽くしの色留@遷宮祭 

上賀茂神社の第42回式年遷宮祭に参列させて頂きました。重要文化財に指定されている上賀茂神社の場合は、伊勢神宮のように建て替えるのではなく、主に桧皮葺屋根の修復です。1年半前に本殿から権殿に遷られた神さまが修復の済んだ本殿にお戻りになるのが、正遷宮というわけです。

生まれて初めて参列する遷宮祭。何を着ればいいのか、さんざん迷ったあげく、この色留袖にしました。呉服屋さんでも経験がなくてわからず、装束屋さんにもお訊ねしたほどです。
ドレスコードは略礼装。殿方は黒スーツ、役員はモーニングとの話なれど、女性はどうしたものか。一人派手にして浮くのも心配で、色は押さえなければなりません。21年に一度ですからね、遷宮祭に参列した経験のある人は容易にみつかるものではありません。よって、誰に聞いても、色無地なら無難、という言葉が出てきます。しかし、我家にある色無地のうち、濃いのは不祝儀用の渋い紫色のみ。せっかくの遷宮祭に、法要で着た着物でよいものか。お祝いの席なのに。
この色留なら、座っているときは色無地に見えて、実は菊尽くしの裾文様。いまの季節にぴったりです。それに、天皇の勅使もいらっしゃるのです。
披露宴なら白地に箔の龍村もいいのですが、帯も今回は渋い色でまとめめばなりません。だから古珀の竹文。帯締は右が金で左が銀。陰陽道の上賀茂神社に合わせました。ちなみに、指輪はホワイトゴールドの葵モチーフ(上賀茂の神紋は二葉葵)です。
と自己流の理屈をつけてみたのですが、和服をお召しの方々はほとんど色留袖、もしくは訪問着でした。よって、私一人が浮くこともなく、この色留で正解だったのです。。