京都という別世界

2泊空けて東京に戻ってきたら、桜が八部咲きで驚いた。さっそくカメラを持ち出して四角い枠の中に収める。淡いピンクに癒された人々がどれほどいるだろう。

訪れた京都では未だ三部咲きだった。昼間は人に会ったので、早朝にスターバックスから六角堂の池のほとりの満開の枝垂桜を眺め、夜は東寺のライトアップに赴いた。花冷えを楽しむにも寒すぎて長居はできず、ホテルに戻った。

京都は同じ日本とは思えない別世界。まったく空気が違っていた。そう、あの地震が夢だったかのように、恐怖のかけらもない、ゆったりとした日常。

おかげで、震災後はじめて爆睡した。地震が来ない。津波が来ない。水が飲める。呼吸ができる。放射能を忘れてもいい。そう考えるだけで、ぐっすりと眠れた。11日以来はりつめていた神経が解きほぐされるのがわかる。たった2泊でも、安眠が確保できた。

とはいえ、福井の原発「もんじゅ」の危うさを考えると、これもつかの間の平和かもしれない。事故が続き、関係者が自殺している「もんじゅ」は本当に大丈夫だろうか。人類への試練は始まったばかり。次に地震が来たら、いまの政府は国民を守れるのだろう。どこまでも疑心暗鬼の私である。

注)写真は六角堂の枝垂桜。全体も見事ですが、ひとつひとつの花も可憐です。比叡の山を降りた親鸞聖人は、聖徳太子の建立と伝えられる六角堂で百日の参籠をされています。