吉岡幸雄さんの「源氏物語の色」

24年前の今日、ベルリンの壁が崩れた。20周年にベルリンを訪れて、その変貌振りに驚いたが、冷戦の崩壊は、世界全体のありようを大きく変えたと思う。

私はといえば、京都で吉岡幸雄さんの講演を聞いた。久しぶりだ。染司よしおかは西麻布、それも米軍のヘリポート前にお店があり、90年代後半、私は先生の講座を受講していた。染めを軸に、日本をみつめる講座だったのだが、母が存命で、いまのように着物に関心がなかったために、濃密な講義内容が細胞の中までしみていなかったと反省している。それでも、フィールドワークとして、春日大社の御祭り、東大寺二月堂の修二会、祇園祭などにいざなっていただき、それが私の日本回帰に大いに貢献したことは間違いないのだ。

今回は京都創生委員会主催。京都についてのリアルな分析も心に響いた。京都で暮らし始めたので、私のアンテナも変化したということだろう。

帰宅して先生の著作『源氏物語の色辞典』を読み返した。以前、NHKBSの「週刊ブックレビュー」でも紹介したのだが、『源氏物語』の色を植物染めで再現された経験を踏まえての労作だ。『源氏物語』に少しでも関心があれば、手元におかれることをお勧めしたい。