あるドンの還暦祝宴

昨夜はドン小西さん還暦祝いの宴が開かれた。ドレスコードが「生涯でとびっきりおしゃれな服」と謳ってあったわりには、ゲストの服装は全体に地味だった気がする。小西さんを際立たせるために遠慮したのかと思うくらいだった。ただ、お祝いの花の数は半端でなく、デザイナーから芸能界へと進出した彼の交際範囲の広さが窺えた。

初っ端、ステージに現れた小西さんは、ご自身のデザインされた和服姿だった。どうやら宴の趣旨の半分は、この発表を狙ったということらしい。黒白を基調にした着物なので、せめて帽子を赤にしてほしかった、と還暦を祝いたい俳優の一人がつぶやいていた。

そういう趣旨なら、我家に伝わる昭和着物で来れば良かったね・・・。私と一緒にそう呟いてくれたのは、安藤和津さんだ。母の着物もよし、熊谷好博子の振袖もよし。

生涯でとびっきりおしゃれな服、と言われてなぜ私が和服を選ばなかったかといえば、発起人に鳥居ユキ先生の名前があったからである。三枝さんのオペラ鑑賞に着たユキ・トリイデザインのロングドレスを纏うことにした。あのときと違う点は、ファーのカチューシャをしていったこと。ボレロとの質感をお揃いにしてみた。

4時間と長丁場なので中座して、おなかを空かせた面々で雨の中、食事にでかけた。ユキ先生、和津さん、秀香さん、ファッションジャーナリストたち・・・。長い長いお付き合いのグループの輪の中にあって、私はといえば、まだまだ新参者なのだが、それでもこうしてお仲間に加えていただいてから8年ほどの歳月は経つのだから、早いものである。

本当は十五夜のはずが、あいにくの雨。皆で月を愛でられなくて残念だった。そういえば、ドンは満月と知って、昨日の夜を選んだのかもしれない。