韓国の追い上げ

円高ウォン安で、日本企業が苦戦している。韓国は国策で、ウォンを大量に刷っているのだから、日本企業は不利だ。ドルもユーロも同じである。日銀も日本円を刷ればいいだけのこと。でも、やらない。なぜだろう。

国策ということでは、韓国政府は徹している。政府を挙げて映画産業に投資し、俳優を育て、韓流ドラマというソフトパワーで、東南アジアにあった嫌韓感情を打ち消した。日本だけではない。

90年代、東南アジア各国で、韓国企業の評判はすこぶる悪かった。ベトナムなどは後進国と見下し、現地従業員を酷使していた。結果、暴力を振るったからと、強制送還された女性支店長もいたくらいだ。だが、21世紀になって、韓国は大きく変わった。

先日のシンポジウムでも、韓国企業の取り組みが話題になった。ベトナムに進出する場合、社員に徹底的にベトナム語を学ばせるのだという。ベトナム語は広東語と同じくい難しいのに、である。未来を見据えた戦略だ。他方、経済力をバックに恵まれた条件で東南アジア諸国に進出した日本企業はこの韓国の努力に、どう立ち向かうのだろう。

韓国政府を挙げての戦略と企業努力。5年後、10年後には、日韓逆転しているかもしれない。注視すべきは、中国の台頭だけではない。