本当の敵は組織の論理

昨日、全国戦没者追悼式の模様をNHKBSで見た。ここジャカルタの朝は曇っていたが、東京はどうだったのだろう。

玉音放送が流された65年前の今日、東京は晴天だった。戦地に行かず、本土を守った女性や子どもたちは、開放感に満ち溢れていたという。これでもう空襲に怯えることもない。新しい未来が始まるのだ――。

 夜間無差別爆撃と原爆投下。本土でかくも多くの命が犠牲となった陰には独立をかけた「空の男たち」の執念ゆえの成果主義があった。アメリカは30億ドルをかけてB29と焼夷弾を開発した。成果を出さねば、悲願の独立が達成できない。結果、日本でもドイツでもの尊い市井の人々の命が失われたのだ。

「ミラノは壊滅状態にされた。あそこまでやる必要があったのか」 同じ宿に泊まるイタリア人がポツリと言った。

同様に、日本が戦争に邁進していき、バランスを失っていくのは陸軍、海軍ともに、組織の論理に引きずられたからである。組織の論理に縛られたとき、一人一人の良心は無力だということを平時のいまこそ、肝に銘じ、不戦の誓いとしたい。