2017年3月 吉田塾へ紅椿の帯で

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東大寺二月堂の修二会の季節。3月半ばまでは紅椿を纏いたくなります。P1240019母の紬に紅椿の帯を締め、吉田塾へ。
P1230985伺ってみると、雛飾りが・・・。そうです。京都の旧家は、旧暦で飾るところも多いのです。今年は30日がその日にあたるとか。だったら、ひいなの帯を締めたらよかった、と一瞬思ってもみたけれど、いえいえ、吉田孝次郎さんは東大寺のお水取り(修二会)の話をされると確信していたから、この帯を選んだんです。その予感は的中しました。これでいいのです。
二月堂に鎮座する十一面観音に捧げる椿の造り花の和紙は、染司「よしおか」が黒谷の和紙を紅花で染めて納めています。試別火 (ころべっか) という修行期間のなか、花拵えの日に連行衆と堂童子が拵えるのです。支子で染めた黄色い和紙を花芯とし、紅花染めの赤3枚と白2枚の和紙で椿の花とします。吉田家の玄関には、その椿が飾られていました。季節の室礼、さすがです。49_large 椿
今回のテーマは朝鮮毛綴れ。野生のヤギや羊の毛で織り、綴れの上に絵を描いています。触ってみると、ザラザラしています。山鉾の懸装にも使われた時代があり、山鉾町には数点、残っているようです。この手法は世界でも朝鮮半島にだけ存在するのですが、P1240052韓国からいらした方によれば、P1240076すべて織る手間暇をかけて表現せず、色を塗ってしまうところが、朝鮮民族らしいとのこと。アジア各地を歩いてきた私の浅い経験でも納得してしまうお言葉。実際、その血を引く末裔が仰るのだから、なるほど、そうなのでしょう。