レーニン像を倒した女たち

秋尾 沙戸子著
1993年サイマル出版会刊/1553円/ソフトカバー/246頁
ISBN4-377-20985-X

  • 目 次
  • 無力でない女たちがいた――まえがきにかえて
  • 1 政治犯として闘った女――ルーマニア
  •   (秘密警察に幽閉されながら電波にのせた良心の叫び)
    • ドミノの逆流
    • 孤立無援
    • 秘密警察
    • 新しい疑惑
  • 2 革命のシンボルといわれた女――チェコスロバキア
  •   (禁じられた抵抗の歌「マルタの祈り」が革命に広場に響く春)
    • スター誕生
    • 夢の終わりに
    • 一輪の花
    • 仮面を捨てて
  • 3 祖国を喪失した女――東ドイツ
  •   (国際結婚、亡命の決意、そして壁崩壊の後に)
    • 亡命前夜
    • パンドラの箱が開く
    • パレスチナの黒い瞳
    • 国境を渡る風
  • 4 クーデターの中の外相夫人――旧ソ連
  •   (父を処刑された心の傷、夫シェワルナゼに悪夢再び)
    • 逮捕の靴音
    • グルジアの騎士
  • 5 インターガール――旧ソ連
  •   (からだを資本に生きた女が祖国を見つめなおす時)
    • 首都を夢見て
    • 祖国のざわめき

アバクロ銀座店

「可愛いですね、その服。アバクロですか」
サンフランシスコで購入したオレンジ色の綿ニットJKを着ていると、東京でよく声をかけられる。どうやら胸の刺繍のマークでアバクロと判別できるらしい。
偶然、ホテルの前にアバクロのショップがあったために中に入り、一枚買って帰った私だったが、思いのほか評判がいいので、これならピンクも購入してしまおうと、銀座の店を訪れた。
入るなり、男性ヌードの写真。ワイドショーのレポート通りだ。イケメンの男たちがエレベータに誘う。店全体があたかもクラブのようにビートが鳴り響く。
エレベータは7階だけで止まる。上は女性、下は男性ものと分けているらしい。狭い敷地に建てたのだから、そういう構造になっているのだろう。
その小さな面積のわりには、各フロアに店員が多い。ハーフの坊やたちばかりで、英語で話しかけそうになる。彼らはモデルクラブに属しているのだそうだ。オーストラリアとのハーフという青年に尋ねると、入って1ヶ月なので、マネージャーに聞いてみるという。
だったら、自分で見てみようと階段を昇ってみた。結果、日本には入っていないことがわかった。商品の説明にも時間を要した。ショート丈でジップアップの綿ニット。いくら説明しても、見たことがないのだから、通じないわけだ。着てくれば、話は半分で済んだのだろうが、朝晴れていたので、つい洗ってしまった。
それにしても、このブランディングは見事だ。サンフランシスコの店とは大違い。あちらは「H&M」や「フォーエバー21」と変わらないカジュアルな雰囲気なのに、この仰々しいこと。一歩足を踏み入れた途端に、視聴覚ともにクラブの様相を呈している。COACHも最初に日本に上陸したときは高級感があったのだが、アメリカではMACYSあたりで安価に売っていることを考えると、ブランディングの仕方ひとつで日本の消費者が大枚をはたいていることに驚く。
銀座線の外苑前で降り、青山の「フィアット・カフェ」に寄った。教授の還暦のお祝いをここで開こうと考えているからだ。赤の内装が還暦にぴったり。
打ち合わせの後、店のスタッフにアバクロ話をしたところ、さすが若者。銀座の店はNY五番街の店と同じコンセプトだと教えてくれた。なるほど。NYのトライベッカあたりでも面白い店作りをしていそうなものだが、まあ、次回はNYの店をチェックしてみよう。

銀座めぐり

アメリカ取材に備え、銀座に買い物に出た。
まずは、「スリムドカン」が切れているので、東銀座で降りて、「銀座まるかん」に行く。かつては歌舞伎座の楽屋からすぐのところにあったが、さらに日本橋寄りに移った。そういえば、新宿紀伊国屋本店1階に、斉藤一人氏の最新刊『微差力』が並んでいたが、店頭には漢方系サプリ、化粧品のほか、一人氏の書籍も並んでいる。
次に、おみやげの「朝日あげ」を買いに、銀座に誕生したという「播磨屋」へ。いつもは、霞ヶ関の金毘羅神社の近くの店で購入する。文部科学省の斜め前にある店には無料のカフェがあり、知る人ぞ知る静かな穴場スポットであった。おせんべいを色々試食しつつ、お茶やコーヒーも自由に飲めるので、「朝日あげ」と「華麗満月」で迷う私は、そこで試食してから、気分で決めて購入していた。
ところが、銀座のカフェは勝手が違う。明らかに、無料カフェを狙ってきている人がたくさんいるのだ。霞ヶ関ではコーヒーは陶器のカップだが、こちらは紙コップ。しかも、エコに配慮して一人ひとつまで、お煎餅も然りで、もしも、節操のない人をみかけたら、忠告しあいましょう、とアナウンスが流れるのだ。昨秋にオープンしたここには、無料でおせんべいが食べられるからと、銀座とは思えない振る舞いをする人が大勢押し寄せているのだろう。
その後、「アバクロ銀座店」を初体験してから、「ユニクロ」を覗いた。少し前まで「ユニクロ」では買わないとあれほど堅く決めていた私も、成田空港でスカートを購入したのを皮切りに、抵抗がなくなってしまった。案の定、色違いのスカート1980円が1280円になっていたので、購入する。結構、中年女性客も多いのに驚いた。
なんだかなあ。「PRADA」で中国人が買いあさっている一方で、日本人が安価な「ユニクロ」で買う姿を見るのも、複雑なものがある。これは近未来の縮図であり、バブル期以降、日本人も同じことをしてきたように思う。
最後は名鉄メルサの「ユザワヤ」へ。かつて、私はここの「シャルル・ジョルダン」に通ったものだ。テナントが高級店のイメージがあったメルサに、蒲田や吉祥寺の手芸ショップが出店とは、時代は変わったものだと思う。たしかに店頭にはデコラティブはパーツが豊富に並び、日本に手作りの波が来ていることを実感する。ユニクロで買ったウェアを自分オリジナルに変化させる。思えば、大学生のころまで、私自身もよくやっていたことで、このほうがずっと健全なのかもしれない。知恵を絞ることを強いられる意味で、老化防止にもつながる。
ほんの数時間、銀座を巡っただけで、色々なことが見えてきた。しかし、日本人の心に宿る銀座の街のイメージからほど遠いのも事実。果たしてこれでいいのか、考えてみる必要がある。

そろそろ気忙しくなり・・・

春からホームページを刷新すべく、昨日はずっと打ち合わせ。
今日のお昼は、グランドハイアットのフレンチキッチンで、別件の打ち合わせ。初めて来たが、高級感のある空間。かつては千円の違いならバイキングを選んだのだが、話し合うことも多々あり、アーモンドのポタージュとステーキに。いずれも美味であった。
その後、国際文化会館へ。
税務署は明日、訪れることにする。

父の命日

昨日は父の命日。少し遅くなったので、霊園に向かうのに、生田駅を降りてからタクシーに乗った。
「こんな雨の日に、立派ですね」
ドライバーが言う。
七回忌の法要は一週間前に終えていたが、命日には墓参をすると決めている。遺族にとっては当たり前の墓参の風景が、いまの日本では日常の営みから消えているということだろう。
1月に息を引き取った母と違って、3月は花屋の店頭に春の花がたくさん並ぶ。せっかくだから、菊などの仏花ではなく、ヒヤシンスだの水仙だの、香しい花を供えることにしている。外苑西通り沿いの、10本単位だからリーズナブルの花屋で色々みつくろい、残りは遺影の前に生けた。
色使いが、欧州のウインドウを彩るキリスト教の復活祭のよう。
缶ビールを供えて父に語りかけていたら、急に寒くなった。予報によれば、翌日は雪とのこと。風が冷たくて、雑巾を洗う手がかじかんだ。
今日になってみると、雪ではなく、冷たい雨。水仙もヒヤシンスも頑張ってくれるだろうか。線香が消えた後も、そうした花の香に誘われて、父の魂が安らぐといいのだが。

みかわ是山居、初体験

生きている間に、ここに来られてよかった。そんな夜だった。
歳を重ねると、そうは感動することに出会えないものだが、「すきやばし次郎」のとき同様、「みかわ是山居」を体験すると、人生観が変わる。ここにくれば、誰もが謙虚になるのではないだろうか。
山本益弘さんのおかげで、昨夜は「みかわ是山居」のカウンターに座らせていただいた。早乙女哲哉氏の仕事は実に奥が深い。
いかに水を抜くか。魚を知り尽くし、科学的に計算した上で、粉と水と空気の割合や揚げるタイミングを決めているらしい。車海老を扱う指の美しさ、白魚を一匹ずつ揚げる手首のしなやかさ、とにかくセクシーなのである。
かくも甘い車海老にこれまで出会ったことがない。胴体と頭が全く違う。名古屋生まれで海老好きの私が口にしてきたものは、何だったのだろうか。きす、いか、うに大葉、しらうお、めごち、穴子、アスパラガス、ふきのとう、サツマイモ、はしらのかきあげ。薄い衣、香ばしい衣、どれもこれも、魚のベストを衣の封じ込めてなお、衣そのものの魅力的なことよ。なんとも至福の瞬間・・・。
早乙女哲哉氏が日本に存在してくれたことを、私は日本人として誇りに思う。

ラリマー2

初めて買ったラリマーがこれ。ロサンゼルスでみつけたペンダントヘッドです。

ブルトパとの組み合わせが妙。少しオパールも入っています。

『ワシントンハイツ』の著者近影では、このラリマーをつけています。写真はカバーの袖なので、図書館では確認できないかも。

ラリマー1

                           米国コロラド州のデンバーでみつけたラリマーです。オバマが大統領候補に正式指名された民主党大会の翌日、共和党大会の開かれるミネソタへ移動するまでの間にストーンを探しを試みたのです。党大会の開かれた会議場のみやげ物屋にもターコイスが売られていたくらいですから、コロラドはストーンの宝庫。しかも、その日、不思議な展示会が開かれ、そこで出会ったものです。2008年には日本でもラリマーはめずらしく、ちょっと嬉しかったのを覚えています。こうしたタイル状のものが何枚か手に入れば、ぜひバスルームの壁に貼りたいと考えているのです。