出版記念会@ルーマニア大使館

みやこうせいさんが『カルパチアのミューズたち』という本を出され、出版記念会がルーマニア大使館で開かれた。ワシントンDCに行くつもりだったのだが、予定を変更したのだった。

先日の週間ブックレビューを見たと手紙を下さり、着物をほめていただき気を良くした私は、和服を着ていくことにした。大使館の桜を思うと夜桜の着物を纏いたい気持ちもあったのだが、地味に白の大島にした。みやさんが岩手出身だったことを思い出したからだ。

みやさんとの出会いを書くと長くなるのだが、1990年の選挙の折、ブカレストの友人宅が始まりである。その後、マラムレシュに誘われて一人夜行列車に乗ってホームステイした。彼らの素朴な生き方に心洗われる思いだった。

津波に飲み込まれた人々の無念に応えるには、私たちが生き方を180度変えて、日本を再生させるしかない。自然への畏怖や感謝の念を忘れた日本人が学ぶべきヒントは、実はこのマラムレシュにいっぱい詰まっているのだ。

みやさんの著作はどれもこれもすばらしいが、とりわけマラムレシュの写真とともに紡がれた文章がいい。少しでも自分の生き方に迷いのある人には、ぜひご高覧いただきたい。ヒントがいっぱい詰まっている。

雪とみまごう桜かな

目黒川のほとりも、東京における桜の名所のひとつだ。

京都から帰った翌日、目黒川を訪れた。あまりに風が激しかったので、桜の花に焦点を当てることができず、全体をカメラに収めてみた。

花がぐるんぐるん揺れ、枝に雪が積もっているかのよう。

京都という別世界

2泊空けて東京に戻ってきたら、桜が八部咲きで驚いた。さっそくカメラを持ち出して四角い枠の中に収める。淡いピンクに癒された人々がどれほどいるだろう。

訪れた京都では未だ三部咲きだった。昼間は人に会ったので、早朝にスターバックスから六角堂の池のほとりの満開の枝垂桜を眺め、夜は東寺のライトアップに赴いた。花冷えを楽しむにも寒すぎて長居はできず、ホテルに戻った。

京都は同じ日本とは思えない別世界。まったく空気が違っていた。そう、あの地震が夢だったかのように、恐怖のかけらもない、ゆったりとした日常。

おかげで、震災後はじめて爆睡した。地震が来ない。津波が来ない。水が飲める。呼吸ができる。放射能を忘れてもいい。そう考えるだけで、ぐっすりと眠れた。11日以来はりつめていた神経が解きほぐされるのがわかる。たった2泊でも、安眠が確保できた。

とはいえ、福井の原発「もんじゅ」の危うさを考えると、これもつかの間の平和かもしれない。事故が続き、関係者が自殺している「もんじゅ」は本当に大丈夫だろうか。人類への試練は始まったばかり。次に地震が来たら、いまの政府は国民を守れるのだろう。どこまでも疑心暗鬼の私である。

注)写真は六角堂の枝垂桜。全体も見事ですが、ひとつひとつの花も可憐です。比叡の山を降りた親鸞聖人は、聖徳太子の建立と伝えられる六角堂で百日の参籠をされています。

非力を認め、素直に謙虚に迅速に

世の中には、能力もないのに自分でやれると突っ張る人がいる。人が助けてくれるというのに、その申し出を受けない人がいる。結果、災いが降りかかるのが個人だけなら構わないが、多くの人を巻き添えにするなら、きわめて重罪である。 

米軍からもフランスの原発企業アレバからも、日本政府への申し出は震災直後からあった。彼らには原発事故のノウハウは十分にあったのに、何故それを受けなかったのか。少なくとも米軍駐留には長く日本国民の血税が投じられてきたのだから、災害時に米軍の力を借りるのは筋が通る。 

今回の原発事故が東京電力の人災であることは間違いない。廃炉にする損害に耐えられず、かつ自分たちで大丈夫と小手先の修復で乗り切ろうとした経営者が日本国民に及ぼした罪は償いようもない。しかし、震災後すぐに非常事態宣言を出せば、総理権限でそうした企業の論理をも封じ込めることは出来たはずだ。

 理解できないのは、原発反対の議員も多いはずの民主党が何故、政権をとってすぐに原発の安全性のチェックをしなかったかである。社民党は何もアクションを起こさなかったのか。少なくとも共産党の『赤旗』紙面では原発の危険性を昨年訴えていた。同じく野党だった民主も社民も意識はあったはずなのだ。

 せっかく政権与党になったのに、子ども手当てよりずっと重い問題だったのに、なぜ議員たちの目線は原発に向けられなかったのか。むしろ政治主導にこだわって仕分けパフォーマンスを行い、危機管理予算を削ったのは民主党政権である。

総理には自らの非力を素直に認めていただきたい。日米合同の捜索だって、震災直後に行われていれば、助かった人々もいたかもしれないのだ。とにかく謙虚に、迅速に、各国の援助を受け入れ、同時に、復興のビジョンを示さない限り、被災した人々は救われないではないか。

くわえて、各電力会社に、原発の安全性をチェックさせるように指導すること。日本全体が弱っているときにテロや地震が来たとしても同じ過ちを繰り返さぬ体制を整える以外に、現政権の罪を償う方法はないのだから。